猫好きにとって、猫に囲まれた空間で仕事ができる猫カフェは、まさに夢のような場所と言えるでしょう。
近年、その人気は高まりを見せており、独立開業の選択肢としても注目されています。
しかし、猫カフェの開業は単に猫が好きという気持ちだけでは成り立ちません。
ビジネスとして成功させるためには、周到な準備と計画が不可欠です。
この記事では、猫カフェ開業に必要な資格、資金、具体的な手続きなど、開業に向けて必要な情報を網羅的に解説します。
猫カフェ開業前に知っておきたいこと
猫カフェとは、猫と触れ合いながら飲食を楽しめるユニークな形態のカフェです。
その魅力は、愛らしい猫たちとゆったりとした時間を過ごせるだけでなく、猫好き同士の交流の場ともなる点にあります。
ビジネスモデルとしては、飲食の提供に加えて、猫との触れ合い自体に価値を見出し、時間制料金を設定するケースが多く見られます。
猫カフェ開業には、癒やし空間の提供という大きなメリットがある一方で、猫の健康管理や衛生管理など、通常の飲食店とは異なる課題も存在します。
経営を成功させるためには、猫の管理体制をしっかりと構築し、お客様と猫双方にとって快適な環境を提供することが何よりも重要です。
また、近年では、保護猫の譲渡を目的とした猫カフェも増えており、社会貢献性も注目されています。
猫カフェ開業に必要な資格・許可
猫カフェを開業するにあたって、いくつかの資格や許可の取得が法律で義務付けられています。
まず、動物を扱う事業を行う際に必須となるのが「第一種動物取扱業登録」です。
これは、事業所のある自治体に申請し、登録を受ける必要があります。
この登録には、「動物取扱責任者」の選任が求められます。動物取扱責任者には、半年以上の実務経験や関連する資格、学歴などが要件として定められています。
また、飲食店としての営業を行うためには、「食品衛生責任者」の資格も必要です。
これは、食品衛生に関する講習を受講することで取得できます。
さらに、店舗の規模によっては「防火管理者」の選任も必要となる場合があります。
これは、消防法に基づく資格で、火災予防のための知識や管理方法を学ぶ講習を受講することで取得可能です。
これらの他に、飲食店営業許可や開業届など、通常の飲食店と同様の手続きも必要となります。
猫カフェ開業までの流れ・ステップ
猫カフェ開業までの道のりは、いくつかの段階に分けられます。
- 事業計画を立てる
- 開業資金を準備
- 開業に必要な資格を取得する
- 猫カフェの物件を探して内装を準備
- 猫をお迎えする
猫カフェオープンまでにはこの5ステージをクリアする必要があります。
1.事業計画を立てる
まず、明確な事業計画を作成していきます。
開業に際して必須になります。
- どのようなコンセプトの猫カフェにするのか
- ターゲット層はどのような人々か
- どのようなメニューを提供するのか
- 猫カフェ(会社)概要
- 収支計画と収益の見通し
などを具体的に落とし込みます。
月々の固定費や、料金などもこのときに決めておきたいですね。
こちらで猫カフェ大手のmochaとクーアンドリクの料金をまとめましたので参考になれば幸いです。


2.開業資金を準備
次に資金調達に取り掛かります。
自己資金だけでなく、融資や助成金なども視野に入れて検討しましょう。
開業する店舗の形態によっても必要な資金が結構変わってきます。
- 店舗を借りる:500~1,000万円
- 自宅を改装する:300~500万円
改装する場所によっても大きく変わってきます。
先に必要なコストを算出してから準備に掛かりたいですね。
なるべく最初はコストが小さくなるように始めるのがおすすめです。
3.開業に必要な資格を取得する
先ほども触れましたが、猫カフェ開業に必要な資格があるので取得や届け出が必要になります。
- 動物取扱責任者資格の取得
- 第一種動物取扱業の届出
- 防火管理者の資格取得
- 食品衛生責任者の資格取得
動物取扱責任者資格の取得
動物取扱責任者になるには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 獣医師法による免許を取得している。
- 愛玩動物看護師法による免許を取得している。
- 営もうとする動物取扱業の種別ごとに、半年間以上の実務経験がある。
- 営もうとする動物取扱業の種別に係る知識及び技術について、1年間以上教育する学校等を卒業している。
店舗ごとにこの有資格者を責任者として届け出る必要があり、必須の資格になります。
年に1回以上の継続研修も必要で、猫カフェ運営に際して常に最新の知識を有していることが求められています。
第一種動物取扱業の届出
開業する自治体へ「第一種動物取扱業」として届け出が必要になります。
資格ではなく、申請のみでOKですが、15,000円程度の費用が必要になります。
申請方法については、開業する自治体のホームページをご参照ください。
防火管理者の資格取得
店内の定員が30名以上になるような比較的大きな猫カフェを運営する場合は必須の資格になります。
30名の中にはスタッフも含まれます。
講習修了により取得ができます。
- 甲種新規講習:2日講習(約10時間)
- 乙種講習:1日講習(約5時間)
逆に30名未満の小規模の猫カフェであれば必須では無いとされています。
食品衛生責任者の資格取得
猫カフェの中で飲食物を提供する場合は、必要な資格になります。
- 各都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講
- 自治体の保健所にて資格を申請
- 自治体から通知が届いて資格の取得完了
講習の費用は10,000円ほどかかります。
食品衛生責任者の資格には有効期限がなく、更新手続きは不要です。
一度取得すれば生涯有効な資格です。
4.猫カフェの物件を探して内装を準備
次に、物件探しと選定を行います。
立地はもちろんのこと、店舗の広さや猫の飼育に適した環境であるかなどを考慮する必要があります。
物件が決まったら、資金調達と並行して、内装・設備工事を行います。
猫と人が安全かつ快適に過ごせる空間づくりを意識し、キャットタワーやケージなどの猫用設備、厨房設備などを整えます。
5.猫をお迎えする
猫の選定・迎え入れも重要なステップです。
健康状態が良好で、人懐っこい性格の猫を選ぶことが望ましいでしょう。
その後、保健所や消防署など、関係各所への各種手続きを行います。
開業準備が整ったら、集客・宣伝活動を開始します。
SNSやWebサイトなどを活用し、店舗の魅力を広く発信しましょう。
プレオープンでオペレーションの最終確認を行い、いよいよグランドオープンを迎えます。
猫カフェ開業資金の目安
猫カフェの開業には、ある程度の資金が必要です。
その内訳を見ていきましょう。
まず、物件取得費として、敷金、礼金、賃料などがかかります。
内装・設備費としては、キャットタワーやケージといった猫用設備、厨房設備、テーブルや椅子などの家具、空調設備などが含まれます。
猫の購入費や、迎え入れた後の医療費も考慮する必要があります。
また、人件費、光熱費、広告宣伝費などの運転資金も確保しておかなければなりません。
これらの費用を合計すると、開業資金の総額は、店舗の規模や立地、内装のグレードなどによって大きく変動しますが、一般的には数百万円から1千万円以上となるケースもあります。
資金調達の方法としては、自己資金の他に、銀行融資、日本政策金融公庫の融資、自治体の助成金制度などが考えられます。
猫カフェ経営のポイント
猫カフェの経営を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、何よりも大切なのは猫の健康管理です。定期的な健康診断や獣医との連携を密に行い、猫たちが健康に過ごせるように努めましょう。
衛生管理も非常に重要です。
店内の清掃、消毒、換気を徹底し、常に清潔な状態を保つことが求められます。
また、猫とお客様双方の安全管理にも配慮が必要です。
事故防止のための対策を講じ、お客様に守っていただくべきルールを設定しましょう。
集客・リピーター獲得のためには、イベント開催やSNSの積極的な活用が効果的です。
また、他の猫カフェとの差別化を図るために、独自のコンセプトやサービスを提供することも重要です。
まとめ|猫カフェ開業に向けて
猫カフェの開業は、決して簡単な道のりではありません。
さまざまな準備や手続きが必要であり、経営を軌道に乗せるためには、継続的な努力が求められます。
しかし、しっかりと準備を行い、猫とお客様への愛情を持って運営すれば、夢を実現することは可能です。
この記事が、これから猫カフェ開業を目指す皆様にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
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